【8月24日】 No.291 (大分⇒宮崎)
 今日に関しては、最初から不安要素が盛りだくさんだった。
 とにかく、佐伯―延岡間の電車は1日に5本しかないらしく、
 今日中に鹿児島に行くには朝の6時に出発しなければならなかった。
 だけど、私は昨日のぼーっとした状態がぶり返して起き上がれず、
 敬くんも徹夜して私を起こしてくれるはずが5時前にダウンしたらしく、
 結局チェックアウトの10時ギリギリまで眠ってしまった。

 次の電車は13時15分発だったので、大分駅周辺で時間を潰すことにした。
 適当に散策するには、3時間は時間がありすぎで、敬くんは散髪することに。
 私はその間にひとりで本屋にでも行こうと思っていたのだけど、
 急に物凄い目眩に襲われて、商店街にあったベンチになんとか辿り着くと、
 慌ててベンチに腰を降ろした。真面目にヤバイ状態だった。
 その約1時間の間、意識が朦朧としていて、必死になって音楽を聴いたり、
 無理矢理本を読んだりしながら意識を失わないように努めた。
 それでも3回ほど意識が飛んでいた瞬間があって、気付くたびに恐怖した。

 こんな状態になったのは、もちろん生まれて初めてだった。
 昨日もそうだったんだけど、水谷美悠という名の私という存在が、
 体から抜け出していなくなってしまおうとしているような感じだった。
 無気力状態……どうして私はこんな場所にいるんだろう?
 どうして旅を続けているんだろう? すべては夢を見てるかのようだった。
 今まで心を支えてくれていたものがなくなって、心にぽっかり穴が開いた感じ。
 こうなった原因はわかっているけど、解決策はないので対処しようがない。

 大分駅前商店街(左)と春うららかな書房(右)
 その後、駅への帰り道で個人的に面白かった本屋を発見。
 「春うららかな書房」と言う古本屋で、なぜか5冊セットでしか売っていないのです。
 30巻前後の大作も一綴りになっていたりして、敬くんが「北斗の拳」に惹かれてました(笑)

 その後コンビニで弁当と今週の「ヤングアニマル」を買って、佐伯行きの電車を待った。
 ここからが今日の地獄の始まりだったのかもしれない。
 佐伯直前で対向車の特急車両が何分経っても来ない為、20分以上遅れて到着。
 どうやら大分方面行きの特急ソニック号が故障したらしく、
 それに乗るはずの人々は急遽鈍行に乗り換えて行くハメになってしまった。

 その間、敬くんが私を心配してくれて、高い滋養強壮薬を買って来てくれた。
 気持ちは嬉しかったけど、これは体力的なものというよりは精神的なものだったから、
 いくら飲んでも回復する兆しはなかった。
 辛いのなら、思い切り泣けばすっきりするのかもしれない。
 だけど「泣く」なんて感情は2年前に失ってしまった。
 あの時以来、感動したり辛くなったりして泣きそうになることはあっても、
 実際に涙なんて出たことはなかった。私の感情はもう死んでいるのかな?

 その後は問題の一日5本しかない佐伯―延岡間だ。この区間には何も無いです(^^;
 それも先程の影響で大幅に遅れ、着いた頃には延岡から乗るはずだった電車は
 既に出発していて、ますます予定がずれこんでしまった。
 更に宮崎行きの電車も、対向車が来るたびにことごとく遅れ続け、
 宮崎に着いた頃には、定刻より50分以上遅れでの到着となってしまった。
 こんな状態でJRとしてのプライドは無いのだろうか?

 さすがに腹が立ち、そのおかげかどこかに飛び掛っていた意識も戻って来た。
 それに関しては本当に思いがけない収穫だったと思う。
 あまりの酷さに、今夜のことが洒落にならないくらい心配になったからだろうか。
 漠然とした無気力感は、怒りの代わりにどこかへ飛んでしまってしまった。

 何としても鹿児島まで行きたいといっていた敬くんも、
 さすがに疲れたのか、これ以上の進行を断念して宮崎で宿を取った。

 <カレンダー> <前の日> <次の日>