7.ファレスの過去11/12

 
           11
 
 十七年前――
 
 ファレスはガーザにいた。
 いや、彼の生まれたのはガーザだった。
 彼は若い頃から神官としての素質を認められ、ガーザ王にガーザ神官として登用されたのだった。
 ファレスを登用してくれた王が崩御すると、その息子が後を継いだ。それが今のガーザ大王だった。
ガーザ大王(当時はガーザ十四世と呼ばれていたが、大王と書く)は野心家であった。
 ガーザ軍の構成を大きく変革し、戦争を目論んだ。
 大王の下に、大神官ファレス、常勝将軍リコート、大参謀ヴィノータを置き、その下に大将軍・左将軍・右将軍を置いた。
 このガーザ軍は言うまでもなく、世界最強の軍隊となる。
 これが二十年前のことだった。
 それから、隣国のサイマン共和国との緊張が高まるようになっていた。
 それもそのはずである。大王の指針は世界制覇であった。隣国のサイマン共和国が指をくわえて黙って見ているはずがない。
 こうして、ガーザ帝国とサイマン共和国の戦争が始まったのだった。俗に言う、七年戦争である。
 序盤はガーザ優勢であったが、ガーザ右将軍(当時)の第六・七部隊が壊滅すると、一気に攻勢はサイマン側に傾いた。
 
「一体、どうする気だ!このままではサイマンの奴らの思う壺だ!」
 ガーザ大王は激怒する。
「大王様」
 ヴィノータが大王の前にひれ伏した。
「なんだ、ヴィノータ?」
「まもなく魔導爆弾が完成します」
「おお、やっとか……」
 ガーザ大王の顔に笑みが浮かぶ。
「すっかり忘れていたな。貴様とファレスが魔導爆弾を製造していたことを」
「はい。一週間後に実験に取りかかります」
「必ず完成させるのだ!サイマンの老いぼれを消し飛ばしてやるのだ!」
 大王の大笑いが辺りに響いた。
 
 そして三日後、その魔導爆弾が完成した。
「ついに完成したな、ファレス」
「そうだな。もう、研究を始めてからちょうど二年になるな」
「ああ、長かったよ」
 これは、劣勢に立たされたガーザ大王が、ファレスとヴィノータに命じて作らせていたものだった。
 いわゆる科学と魔法の合体作である。
 ふたりが爆弾を眺めていると、誰かが部屋の中に入って来た。
「どうだ、爆弾のほうは?」
「おおリコート、見に来てくれたのか」
「それはそうだろ。実際使うのは俺様なんだからな。どんなものか見ておく必要はある」
 そう言うと、リコートは魔導爆弾を眺めた。
 爆弾は直径二十五センチくらいの水晶球だった。表面は透明で、中が青白く輝いていた。
「ほう、こんなものなのか……」
 リコートは随分気に入ったようだ。じっと見入っている。
 ヴィノータはうれしそうに言う。
「私達三人の連携策だからな。気合い入れて作ったんだ」
「ファレスの強力な魔力、貴様の開発力の粋を結集したものだものな。それを俺様が戦線でぶっぱなす。サイマン共は一瞬でお陀仏だ!」
「明日、実験の為にロスク砂漠に向かう」
「おうファレス、ヴィノータ頼んだぜ!」
 こうして、ファレスとヴィノータは、ガーザの南にあるロスク砂漠に向かった。
 
 
 
「ヴィ、ヴィノータ、逃げるんだ!」
「なっ!」
 カッ!
 ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
 巨大な竜巻がヴィノータを襲う。
「はあああああ!『ウィンドクライシス』!」
 ゴオオオオオ!
 ファレスは風系の魔法で竜巻を中和させる。
「い、今のうちにここから離れるんだ!」
「ファレス、お前はどうする気だ!」
「心配するな!これはもともと儂の魔力を注入して作った爆弾だ。儂に何とか出来ぬとでも言いたいのか!」
「わ、わかった!」
 ヴィノータは砦から飛び出した。
 すると、ファレスの顔から笑みが消えた。
「何とか出来る訳なかろう。お主の力で何十倍もの威力になっておるのだからな……」
 ズザザザザザザザザン!
 ファレスはメチャメチャに切り裂かれた。
 
 その影響は、半日してやっと収まってきた。
 爆風によって数キロ吹き飛ばされていた、ヴィノータは、痛む体を抱えて砦のあった場所に戻ってきた。
「ファレス、ファレス〜!」
「こ、ここだ……」
「ファレス、しっかりしろ!」
 ファレスは体を切り刻まれ、血だらけになって倒れていた。
「し、心配するな……ほんのかすり傷だ」
「どこがかすり傷なんだ!早く手当てをしなくては!」
「儂のことはいい。それよりも一刻も早くこのことを大王様に知らせなくては……想像以上の威力だ……」
「ああ、同行していた第八部隊は全滅のようだ……」
「リコートが東部戦線に向かうのは明日のはずだ。急がなければ」
「しかし、今からでは……」
「瞬間移動を使えばいい」
「えっ、その体で出来るのか!」
「ああ、一回位なら何とかなる……」
「しかし……」
「リコートを見殺しにする気か?」
「……そうだな、わかった」
 ヴィノータは、ファレスの体に掴まった。
「はああああ、瞬間移動!」
 シュン!
 
 
「一体、どういうことです!リコートが救援に向かうのは明日のはずですよ!」
 ヴィノータの声が王の間に響きわたった。
「第四部隊が突破されてしまったのだ。リコート率いる第一部隊以外に誰が出ると言うのだ!!」
「しかし、魔導爆弾のテスト結果も待たずに、リコートに持たせるなんて……」
「黙れ!俺に指図する気か!」
「そ、そんなつもりでは……ただ、このままあの爆弾を使うと我々の軍も全滅する可能性があります」
「構わん」
「なんですって!」
「それだけの威力なら、サイマンの老いぼれも確実に始末出来るだろう。奴が直々に指揮を執るようになってから、一気に戦況が変わったからな。奴さえ始末出来れば、リコートごときの犠牲など取るに足りん!」
「ば、馬鹿な……あなたはそんな簡単に家臣の命を考えていらっしゃるのですか!」
「何だと?」
「リコートを始め、兵士はみんな、あなたの為に、国の為の戦っているのですよ!それなのに、それなのに……」
「黙れ、クズが!」
 ビュン!
 大王は短剣を投げつけた。
 ズン!
「貴様、何のつもりだ!」
「ファレス!」
 何と、傷を負ったファレスがヴィノータをかばって盾になっていた。右肩から激しく血が噴き出した。
「ど、どうして……」
 しかし、ファレスはそのまま大王の前に土下座した。
「大王様、今回の件はすべて私の責任です。ヴィノータには何の責もありません」
「ほう」
「な、何を言い出すんだ、ファレス!」
「わかった、今日は貴様に免じてヴィノータを許してやろう。ただし、貴様の今後は保証しないぞ!」
「はい……」
「おい、ファレスを牢にぶち込んでおけ!」
「はっ!」
「ファレス……」
 ヴィノータはただ黙って見ていることしかできなかった。
 
「ファレス、どういうつもりなんだ!私をかばったりして……」
「今、お主が捕まったら、誰がリコートを助けに行くのだ!」
「はっ!」
「儂は先の傷のせいでもう動くこともままならん。だから、お主に行って貰いたかったのじゃ」
「ファレス……」
「頼まれてくれるな?」
「ああ、わかった。お前の為にも必ずリコートを助ける!」
 
 
 
 ヴィノータは、必死で東部戦線に向かっていた。
 戦線と言っても、サイマン軍の快進撃により、当初よりも五十キロ程ガーザ側に寄っていた。もう城下町から見えるというところまで迫ってきていたのだ。
 今回はそれが好を制したのか、かなり早くガーザ部隊を捉えることが出来た。
「あれだ!」
 ヴィノータの前方にガーザ軍の旗が見えて来た。そのまま、軍団の中に飛び込む。
「リコート、リコートは何処だ!」
「これは大参謀様、一体どうなされたのですか?」
「リコートは何処だ?」
「将軍なら、魔導爆弾を持って先陣に向かわれましたが……それが何か?」
「なんだって!」
「?」
「おい、今すぐ撤退するんだ!出来るだけ早く!」
「し、しかし、将軍の指示もなしに……」
「私の命令が訊けないのか!」
「わ、わかりました!」
 すると、ヴィノータは先陣に向かって駆け出した。
 
「一体何事だ?」
 リコートは後方を見ていた。後陣が撤退していくのが、よく見えた。
「はい、どうも、大参謀様の指示らしいです」
「馬鹿言うな!ここに奴がいる訳ないだろ!……ま、まさか、敵の偽伝か!」
「どうしたのかね、リコート君」
「サ、サイマン総帥!」
 何と、いつの間にかサイマン突撃隊に囲まれていた。
「やっと負けを認めたようだな」
「貴様……」
「さて、死んで貰おうか。構え!」
 総帥のかけ声に併せて、突撃隊が一斉に剣を向けた。
「くく……」
「何がおかしい!」
「死ぬのは貴様の方だ、サイマン!俺達三人の力を見るがよい!」
「なっ!」
「打てい!」
「ま、待つんだ、リコート!」
「ヴィ、ヴィノータ、どうし」
 カッ!
 
 その瞬間、すべてが消滅してしまった。
 
 
 
 
 
           12
 
「そんな話信じられるか!」
 リコートの声が響く。
 ファレスは、毅然とした態度でリコートを見つめていた。
 すぐ横には、深い傷を負ったヴィノータが倒れていた。エミルは必死になって出血を止めようとしていた。ロミアも『癒しの調べ』を奏でるが、想像以上に傷は深く、出血は増していくばかりだった。
「これが真実じゃ……」
「黙れ、黙れ!そんなことがあるはずがない!それでは貴様らは何も悪くないと言うのか!」
「いや、悪いのはすべて儂じゃ……ヴィノータは命を張ってお主を助けに行ってくれた。なのに儂には何も出来なかった。だから、この十七年ずっと苦しんで来た」
「何を言いやがる!貴様だけのうのうと生きていた癖に!」
「いや、儂はあの後すぐに、当時ガーザ領だったナーサスに流されたのじゃ……そして四年間地獄の生活を送っていた。すべてを知ったのは釈放された時だったよ。確か、ちょうどガーザ軍の圧勝に終わり、ラルグ地方を獲得した頃じゃった…………」
「結局、私達はただの捨てゴマだったということだ」
「ヴィ、ヴィノータ!」
 なんと、ヴィノータが立ち上がっていた。
「パパ、ダメだよ横になっていなきゃ!」
「いいんだ、エミル」
「パパ……」
 
 ヴィノータは震える体で、ゆっくりと話始めた。
「あの爆発の後、私だけが助かった……」
「何だと!」
「当時、あの辺には妖精の森があったのだよ。あの爆発で消滅してしまったがね」
「!」
「そんな中、数人の妖精が生き残った。その一人がフィリルだった」
「ママのこと?」
「そうだ。彼女は私を助けてくれたんだ。私は運良く消滅しなかったが、傷は酷かった。それを彼女は毎晩毎晩看病してくれた。ずっと一緒にいてくれたということもあったかも知れないが、私は次第に彼女が好きになっていった。そして、一年後にエミル、お前が生まれたんだよ」
「…………」
「私とフィリルは、一生懸命エミルを育てた。しかし、フィリルはエミルが四歳の時に病気で死んでしまった。正直、私は三日三晩泣いたよ。でも、ずっとそのままではいられなかった。私には、やらねばならないことがあった」
「妖精の森の復興じゃろ?」
「そうだ。私は村を森の深い、今の場所に移動させ、魔導バリアの開発とともに、他の村からの移住の誘致などを行なって村の復興を図ったのだ」
「そうじゃったのか……」
「だからどうしたと言うのだ!」
「リコート……」
「せめてもの罪滅ぼしに、妖精どもを助けたってか?笑わせるな!こんなクズ共を助けて何になる!」
 その言葉を訊いた途端、ヴィノータの顔付きが変わった。
「今の言葉は撤回しろ、リコート!」
「何だ?また貴様の悪い癖だ出たかあ?貴様はいつもそうだものな。撤回しろ、撤回しろって、そんなに自分の意見を通したいのかよ!」
「リコート、そこまで落ちぶれたのか……」
「何だと!」
「お前は、私がこの手で葬り去ってやる」
「ヴィ、ヴィノータ!」
「スマンな、ファレス。せっかくの大親友三人の再会だったのにな…………」
「何が大親友だ!ズタズタに引き裂いてくれる!」
「いいのか、ヴィノータ。このまま行ったらお主は……」
「いいんだ」
「……わかった」
「何言ってるのよ、じいさん!パパを止めてよ!死んじゃうよ!」
「無駄じゃよ……昔からああいう奴じゃったからな……」
「パパ……」
 
 ヴィノータはリコートを睨んでいた。
「貴様に何が出来ると言うのだ?」
「どうやら忘れてしまったようだな……」
「何?」
「私が科学者であると同時に、魔導士であるということを……」
「なっ!」
 バッ!
 ヴィノータが空を斬る。
 ザザン!
「グハッ!」
 リコートの体が切り刻まれた。
「どうだ、『ウィンドカッター』の味は?」
「こ、殺す!」
 バッ!
 リコートが、巨大な爪を振り上げて襲いかかった。
「『サンダーアロー』!」
 ボンッ!
「ぐ……き、貴様…………」
「はあはあ……どうだ?」
「くく……」
「何だ、その笑いは!」
「死ね、ヴィノータ!」
 ズザザザザザザン!
「ば、馬鹿な……」
 ヴィノータの体は宙を舞っていた。格段の差だ。
 何とか着地しようとすると、そこをリコートが捉えた。
「パパ、危ない!」
「なっ!」
「あばよ、ヴィノータ。レングニードル!」
 瞬時にリコートの改造部分から針が無数に飛び出した。
 ザクザクザクザクザク!
 ヴィノータはそのままくらってしまった。
「…………」
 ヴィノータは頭から地面に直撃した。もはや悲鳴すらなかった。
「ヴィノータ!」
「パパァ!」
 ファレスとエミルが慌てて駆け寄った。
「しっかりするんじゃ!今、回復してやるからな!」
「……も、もういい」
「何を言うんじゃ!」
「エミル、済まん……」
「イヤだよ。パパが死んだら私独りぼっちになっちゃうよ!」
 エミルはヴィノータに抱きついて泣く。
「ファレス、エミルのことを頼まれてやってくれないか……」
「わかった」
「イヤだよ!イヤイヤ!イヤですぅ〜!」
「エミル、お前ももう十六だろ?大人としての自覚を持つんだ」
「…………」
「今、世界は大変なことになっている。お前も世界を救う為に頑張るのだ」
「知っておったのか、外界のことを」
「あ、ああ……私の部屋から外界の様子が見えるようになっ……て…………」
「パパァ!しっかりして!」
「エミ……ル…………私もフィリルも、お前の心の……中で生き続け……る…………」
 そう言うと、ヴィノータは静かに息を引き取った。
 
 暫くして、突然ロミアがリコートの前に立った。
「何だ、貴様は?」
「あなた、許せないよ……ヴィノータさんは謝っていたじゃない。すべては事故だったんだよ?それにどうして憎むことしか出来ないの?僕たちは生きているんだよ!死んでいった人達の為にも精一杯生きなくちゃいけないんだよ!」
「知らんな。今俺様は、ファレスに復讐するためにここにいるんだ」
「そんな……」
「いや、俺様自身が憎しみから出来ていると言ってもいい。この右腕が奴を殺したい、殺したいとうずいているんだ!」
 リコートは巨大な爪に変わった右腕を見る。
「許せない、あなただけは絶対許せない!」
「ほう、貴様も死にたいようだな。ならば、お望み通りに切り刻んでやろう」
 すると、エミルがロミアの横に立った。
「私、パパの言ったこと守りますぅ!」
「ほう」
 更にファレスもロミアの横に立った。
「二人とも、儂を忘れて貰っては困る。今のリコートは昔の仲間だったリコートではない!ただの殺人鬼じゃ!」
「ほう、みな死にたいようだな!なら望み通りにしてやるぜ!」
 バッ!
 リコートがエミルに飛びかかった。
「アンテッドフライさんですぅ!」
 ババババババッ!
 一斉にアンテッドフライが飛びかかった。
「な、何だこいつらは!」
 無数のフライが、リコートにまとわりつく。
「鬱陶しい!レングニードル!」
 ザクザクザクザクザクザク!
「『ホーリー』!」
「なっ!」
 ファレスの神聖魔法がリコートを襲う!
「デモン=アピアランス!」
 リコートは魔物化した右の頭から小悪魔を発生させた。『ホーリー』は反れて小悪魔達に直撃した!
「『嘆きの調べ』!」
 ポロロン!
「デモン=テューン!」
 今度は、リコートの右の頭から悪魔の調べが流れ出した。『嘆きの調べ』はかき消される。
「何なの、この人!メチャメチャ強いよ!」
 ロミアは冷や汗をかいていた。
「重傷だったとは言え、あのヴィノータが簡単に殺られてしまった訳じゃ……」
「俺様を甘く見過ぎていたようだな。さっきも言っただろ?俺は七割方魔物化、機械化しているんだぜ!中級魔族レベルの力はある!」
 く……リコートを改造した奴は何者なんじゃ……中級以上の魔族は封印されておるはずなのに、どうしてサンプルを手に入れられたんじゃ!
 ファレスの顔に焦りが見えた。
「さて、そろそろお遊びはおしまいにしようか」
 リコートはニヤリと微笑んだ。
 
 リコートが飛びかかった時だった。突然、エミルの体が輝きだしたのだ。
「な、何だこれは!」
 ファレスははっとしてヴィノータを見た。
「ヴィノータ、お主……」
「なんだろ……心の中がすごく暖かい……これは……」
「や、やめろ!」
「……そうか、ママとパパなんだね」
「ひいい!」
 リコートは逃げ出した。
「『ライトニング=サン』!」
「ウギャアアアアアアアアアアアア!」
 エミルから放たれた光は、リコートに直撃した。リコートの体が溶けていく。
「す、すごい!」
 ロミアは驚いていた。
「ヴィノータ……」
「ファレスウウウウウ!貴様は俺様が必ず始末してやる!小娘もだあああああ!」
 そう言うと、リコートは消えてしまった。
「倒したの?」
「いや、時空の狭間に逃げたようじゃ。どうやら奴には相当のバックがついておるな……」
 ファレスはそう実感した。
 
「エミル、大丈夫?」
「はいですぅ。パパとママは心の中にいます!」
「そうか……よかったね」
「はい!」
「では、ガーザに向かうぞ。今のエミルなら魔導バリアを操作出来そうじゃしな……」
「はいですぅ」
「その前にお墓を作って上げなきゃね」
 ファレスはヴィノータを見た。ヴィノータは微笑んで眠っていた。
「ヴィノータの奴……」
 
 
 
 こうして、エミルは新しい村長にバリアを操る力を託し、三人はガーザへと向かったのだった。
 

続く