第2話   by もの熊

 

「はい?」

 

 俺は思わず呟いた。

 

「だから、ここ、わたしの家!」

 

その、小学生ほどの身長しかない子がそういう。

 

「は…だってここ、空き家だったのに…」

 

「ちがう、わたしの家なの!」

 

その子は必死に否定していた。

 

「そんなこといったって…」

 

「どうにもこうにも、わたしの家なの!」

 

…本気か、こいつ。

 

どこをどう思ってもここは俺の家だ。

 

今日引っ越してきたばっかりだ。

 

それなのに、こいつの家とは…

 

「わ、分かったから。とりあえず電気をつけよう。こうも暗いと何も見えないから。」

 

そういって、俺は電気をつけようとしたが…

 

「あれ?」

 

そういえば、ここの廊下の電気のスイッチってどこにあるんだ?

 

「ふふーん。やっぱり分かっていないようね。だってここ、わたしの家なんだもん」

 

「分かったから、スイッチはどこにあるんだ?」

 

「しょうがない、つけてきてあげる」

 

そういって、その子はとてとてと走り出そうとした。

 

が……

 

「逃げないでよ! まだ聞きたいことはいっぱいあるんだから」

 

(誰が逃げるかって。ここ、俺の家なんだし…)

 

振り向きざまに言われた言葉に、俺は心のなかで反抗していた。

 

 

ぱちっ

 

 

廊下の電気がともった。

 

「ほら、これで満足?」

 

そういってその子はこっちに向かって歩いてきた。

 

「…おまえ、こどもじゃないか」

 

「あなただってそうでしょ!」

 

怒った。分かりやすいやつだ。

 

チラッとみただけじゃ…やっぱり小学生だ。

 

身長は俺の肩ぐらいまでしかない。ピンク色のパジャマを着ていて、スリッパを履いている。

 

髪は短め、肩に届くかどうかって感じである。

 

…やっぱり小学生だろ。かなり童顔だし。

 

「なにじろじろと見ているのよ」

 

半分怒り気味で言われる。

 

「いや…別に…」

 

驚いていた。

 

こんなに小さい子がこの家に一人で住んでいるとはとても思えなかったからだった。

 

「お父さんとお母さんは?」

 

一応念のために聞いてみた。

 

 

……ドゴッ!

 

 

無言で、回し蹴りが俺の腹に見事に決まった。

 

「げ、げふっ。ごほっ…」

 

思わずむせる。

 

「わたしのこと、見た感じで小学生って思ったんでしょ!」

 

もう完全にきれていた。

 

「そんなこといったって…いきなり、ごほっ、つま先で…」

 

「ふんっ! これでもわたし、高校生なんだから」

 

「は!? 小学生の間違い…」

 

思いっきりにらまれた。

 

「あー、むかつく! なんでそんなに幼く見られるかな」

 

「そりゃ、身長が…」

 

言いかけたら思い切りにらまれた。

 

「もう! どこの誰だか知らないけど…いきなり人の家に上がりこんできて、失礼よ!」

 

「人の家って…だから、ここ、俺の家なの」

 

「ううん、ここ、わたしの家!」

 

「なんで?」

 

「なんでって、昔から住んでいるからよ!」

 

「俺は、今日から住み始めたんだけど…」

 

「だから、わたしの家に勝手に住まないで!」

 

「う〜ん…」

 

やっぱり、ここ、俺の家のはずなんだが…

 

まさか、土地の所有者が重なるって事はないはずだし。

 

「なに考えているのよ」

 

唐突にその子に言われた。

 

「なにって、やっぱり…」

 

といいかけて止まった。

 

これではさっきの繰り返しになる。

 

「やっぱりなになのよ」

 

かなり気が立っている様子である。確かに、小学生って言ったのはまずかったか。

 

「いや、別に…」

 

「なによ、変なひと」

 

小学生にそういわれるとは思わなかった。

 

って、また小学生って思ってしまったか…

 

「名前は?」

 

相変わらず、強気で聞いてきた。

 

「名前?」

 

「名前も分からないなんてこと…ないでしょうね」

 

やっぱり完全に怒っている。

 

「なんで名前なんて…」

 

「名乗るのが礼儀ってものでしょ!」

 

またむちゃくちゃなことを言う。

 

しょうがない。言わないと本当に何をされるか分からない。

 

「流川…流川徳仁」

 

「どういう漢字を書くの?」

 

「確かに、小学生には難しいかもしれない………あっ!!」

 

あ、また口を滑らしてしまったようだ。

 

……

 

少し、その子の顔を見る。

 

完全に怒っている。

 

「あ、いや、その…」

 

「……」

 

完全に怒らせてしまったようだ。

 

「もう!! わたし、寝る!」

 

やっぱり怒っている…無理もないか。

 

「どこにでも寝ていいから」

 

「いいのか?」 

 

 ときいてから、俺は変に思った。ここ、俺の家のはずなのに…

 

 「いいわよ…そのかわり、明日には出て行ってもらうからね!」

 

 そういうことか…。

 

 ま、明日になったら気分も落ち着いているでしょう。

 

 俺は完全に楽観的に考え始めた。

 

 

 

ぱたぱたぱたぱた……バタンッ

 

 

 

「あ……」

 

いつのまにかさっきの子は帰ってしまった。

 

廊下には俺一人が取り残されていた。

 

…ま、明日になったら分かるでしょう。

 

そうおもって、俺も自分の部屋に戻った。

 

 <第2話 終了> <第3話へ>


 あとがき…
 ども…もの熊です。
 まず最初に…「〆切破ってしまってすみません!」 (泣)
 いや、個人的に忙しかったのです、はい。あと…キャラがつかめませんでした(核爆)
 こういうキャラ(この女の子)は初めて書くもので。
 もう駄目ですね…かなり、素人丸出しですね(笑)
 そんな、ど下手なもの熊をよろしくです(ぺこり) (2000.12.15)