カナタへ…
『カナタへ…』
(2004.9.23)
<テーマはいいが、ボリューム不足>
全2部からなるフルボイス恋愛アドベンチャー。
あらすじは引用させていただくとこんな感じです。
第1部の舞台は20世紀に移り変わる頃のオーストリア。
音楽学校の講師ハンスが恋人の為に曲作りをするのだが……。
第2部は現代の高校。
吹奏楽部では秋の大会に向けて曲選びをするが
なかなか見つからないのだった。
全く違う時代と国を結ぶストーリー。その結末とはいったい?
物語は、音楽をテーマとしていることもあり、ジムペティの曲と共にコンセプトである「音楽は時間を超える」というテーマを語っていきます。
第1部、街には謎の殺人鬼が出現しており、既に6人もの人が犠牲になっています。
主人公のハンスは恋人のマリーにも危害が及ぶのではないかと不安に駆られます。
第2部では舞台が現代の日本の音楽学校に移り、大会で使用する曲を探していた主人公が未完成の謎の譜面を発見します。
そこから物語が始まるのですが……。
正直な所、このあらすじだけでストーリーの半分以上を語り切れてしまいます。
それだけクリアまでの展開が短いことになり、「音楽は時間を超える」というテーマをまったくと言っていいほど生かし切れていません。
起承転結で考えるならば「起」の次に「結」がやってきてしまっているような感じになっています。
エンディングは数種類ありますが、第1部の結末と第2部で結ばれる女の子が変わる程度であり、改めてすべてを見る必要性を感じませんでした。
キャラクターに関しては細かく語られておらず、CGに関しては主線が微妙です。
エイリアス部にドットが残っていたりと画像処理も甘いです。
ただ、売りのひとつでもあるボイスの方は上手かったと思います。
演技にも熱が入っており、雰囲気を良く出していました。
ただ、キャラクターによって音質が著しく悪いものもあり、それが残念でした。
背景は各所のフリー素材を集めてきたものをそのまま使っていると思われます。
偶然ですが、同時にプレイしていた「Brass Restoration」で同じ画像がちらほらと出てきたのでなんとも言えませんでした。(両作品に対するマイナスで残念です)
曲に関してはなかなかよかったと思います。
素材転用ということも無いみたいですし、良いと思います。
システムの面に関しては疋田雅也氏の「コミックメーカー2」を使用、「SAVE」「LOAD」のみ可能で、既読スキップ等、今やADVゲームには欠かせない機能が搭載されていないのが辛かったです。
あと、ボリュームに見合わないファイルサイズが気になりました。
「コミックメーカー」では効果音にWAV形式しか扱えないっぽいのでそのせいでしょうか?
最終的な評価点ですが、ボイスについてはキャラクターの魅力として加算しています。
◇カナタへ…
作者:Dream Again Software
シナリオ:13
キャラ:15
CG:10
音楽:14
システム:8
総合点:60「D」
※各項目は、12点を標準として20点満点で採点しています。
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