うたわれるもの うたわれるもの (2003.4.25)

 Leafの2002年の注目作「うたわれるもの」のレビューです。
 前作の大阪チームの「誰彼」が評判が悪かったので、今回で挽回なるか!?
 という点でも注目されていた東京チームの一作でした。
 発売日にやっておきながら、新作「Routes」が発売された後にアップするのが
 今更レビューの醍醐味です(笑)。

 深く緑の生い茂る森と澄み渡る青空
 決して豊かではないが平和なムラが、そこにはあった

 ある日、ムラの娘がひとりの仮面の男を連れてくる
 たくさんの傷を全身に受けた男は死の淵を彷徨っていた
 娘の家族の手厚い看護で男は一命を取り留める
 しかし、男はこれまでの記憶を失っていた
 娘の祖母は、男にハクオロという名を与える
 やがて回復した男はムラの生活を見て心に決めた
 ――自分の力を、このムラの人たちのために捧げよう、と

 オフィシャルの紹介ページはこちら
 原画は甘露樹さん(「Piaキャロット」1・2、「こみっくパーティー」など)。
 シナリオは菅宗光さん(「BE-YOND」「恋姫」など)。
 お二方ともに有名な方で、作品の完成度はかなり高いです。
 音楽は「誰彼」の松岡純也さんがメインで、アジアンテイスト色の強い曲がお気に入りです。

 シナリオは完璧に一本道のSLGですが、真面目に面白いです。
 進めていくうちにどんどん惹き込まれていきます。
 その辺の文章力はさすがといった感じでしょうか。
 ボリュームが足りないとか、このキャラがクリア出来ないとか言う人も
 たくさん出そうな感じですが、個人的にはこれでOKかなって思いました。
 ひと昔前(「萌え」が流行になる前)のゲームをやってる感じ。

 SLGなので戦闘があるんですが、背景とチップキャラがこれでもか、
 というくらいに綺麗です。SLGの本家e・go!の進化系のような感じ。
 バグもないし、うちのボロPCでもサクサク動くところが嬉しい。

 テンポがいいせいか、一度始めると止まらない。
 とにかく続きが気になって仕方ないです。
 2日ほど続けてやってあっという間にクリア。
 (全30ステージあります)
 ――すんません。久々に本気でハマりました。
 まさか終盤であんな展開になるとは!(驚)

 個人的ベスト3の「ONE」「YU-NO」「青空」には及びませんが、
 「アトラク=ナクア」「WHITE ALBUM」並の良作にあたる完成度だと思います。
 最近のゲームって「萌え」とか「泣き」を過剰に表現したもののが多くて
 かなり嫌気が差していたんですが、これはバランスが良かった。

 褒めたい部分は、
 ◇ストーリー重視なのにキャラがしっかり立っていて無駄なキャラがいない。
  (数十人いるキャラがみんなその中に生きている)
 ◇戦闘パートがストレスなくサクサク進める。
 ◇女性だけでなく男性キャラもしっかりと書けている(特にオボロ)。
 ◇物語の緩急のつけ方が上手い。
 ◇世界観が壮大でクリア後に色々と考察出来る楽しみがある。

 欠点と挙げるとすれば、
 ◆18禁ゲームでないに等しい(コンシューマ機狙い?)。
 ◆一本道なので、キャラ毎のEDがない。
 ◆戦闘パートが簡単すぎ。
 ◆名前や地名が覚えにくい。
 ◆人が死に過ぎたり、やや端折りすぎな部分もある。
 ただ今挙げた欠点は、個人的に気にならない方なんで、
 その分更に面白く感じたのかもしれないです。

 <藍川澪女史より、ハクオロのアイコンを拝借>

 ちなみにこのゲームは娘属性なのか、主人公のハクオロが
 「おじさま」とか「おとーさん」とか言われてます(笑)。
 どの女性キャラも恋愛対象というよりは本当の娘っていう感じで、
 全体的にまったりムードで進んでいったのが良かったです。

タイトル ブランド シナリオ キャラ CG 音楽 システム 総合点
うたわれるもの Leaf 17 17 18 19 18 89「A」