果てしなく青い、この空の下で…。
『果てしなく青い、この空の下で…。』(2000.8.30)(2001.3.4 加筆)
今更シリーズ第3弾として、『果てしなく青い、この空の下で…。』です。
と言っても、この作品は2ヶ月前に発売になったばかりなので、
今更ではないですけど(^^;
「TOPCAT」の新作で、シナリオ担当は鷹取兵馬さん。原画担当はたかみちさん。
『物語は始まり、彼らは互いの瞳を見つめる。』
始まりは安曇学園の閉鎖だった。
いつか……。
ふと思った事がある。
俺の胸の中で永遠に繰り返されるだろうこの物語は
実は俺達だけが見た幻では無いだろうか…。
安曇学園が閉鎖となったこの年、
俺達は移りゆく季節の中でお互いの大切さを確認しあった。
現実とも幻想とも言えないあの時間の中では、
それだけが自分を確認できる唯一の手段だった。
だが、他人は言う。
『そんなことは何もなかった。お前は幻を見たのだ』と。
それでいいのかもしれない。
夢であれ幻であれ、俺はこの事を忘れはしない。
彼女が俺を優しい笑顔で見つめてくれるなら、
俺は何よりもそれが一番大切だから。
『果てしなく青い、この空の下で…。』
テーマは、ヤマノカミと呼ばれる伝承。
舞台は田舎にある廃校直前の学校で、生徒は主人公戒田正士と女の子5人のみ。
全体的に一昔前の田舎のいい雰囲気が出てます(^^)
感想としては、絵の雰囲気はジブリ調で、ノスタルジックな雰囲気がいいです。
特に背景は相当上手いです(『kanon』『Air』より上)
あと音楽・効果音もすごくよくて、場面場面にあったように鋭く使われています。
システム面では、選択肢までスキップや、横書き縦書き変更可ウィンドなど、
色々と斬新的だったと思います。
キャラもすごい性格・特徴がはっきりしている上に、情景描写が巧いです。
鷹取さんの文章力と演出力がものを言ってます。
そのように、シナリオは相当練られていて、
それぞれのストーリーが相補的にテーマであるヤマノカミの正体を明かして行き、
登場人物の名前すらも伏線として後半に掛かってきます。
1キャラクリアするたびに謎が解けていって、なるほどと唸らされました。
前半、とにかく明るくて楽しいだけに、後半になって、
女の子達がどんどん壊れていってしまうのがものすごく辛いです。
その中でも、一番のヒロインにあたる芳野雨音。
数年前両親が夜逃げし、お金が無くなってきたという理由で(本当は裏がありますが)
悪い噂の絶えない元代議士堂島の家へメイドとして働きに行くことになります。
とにかく、彼女だけはあまりにも痛い…
彼女のルートでも悲惨ですが、他のヒロインのルートでは、
気がおかしくなって主人公のことを違う誰かと勘違いしたり、
道端の雑草をむしっている…マジ辛過ぎ(TT)
好感度式なので、どこで間違ったかもわからないし、
選択肢が相当入り組んでいる為に、難易度はかなり高いです。
普通にやると、恐らく最初は全キャラバッドになる可能性も(^^;
とにかく、バッドエンドが辛過ぎます。マジ泣き入ります。
けどその分、グッドエンドを見ないと気が済まないとやる気が出ました(笑)
そして、全キャラグッドエンドを見ると、5人の話が総合された真のEDが見れます。
恐らくバッドエンドこそ鷹取さんの描きたかった哀しい世界なんだと思います。
グッドエンドはその副産物のような感じもしますし。
そして、一番描きたかったキャラは裏ルートのヒロイン八車文乃。
他のキャラとは比べられない程の深みを持ち、そして人間不審を背負っている。
まさにこの作品の主題のような気がしてならないです。
彼女のルートは、すべての謎を解明するルートでもあるので、
最後にやることをお勧めします。
あと、システム面にまで伏線?があったのでこれには参りました。
多分普通なら気付かないで終わってしまうでしょうけど。
この条件を揃えると、おまけシナリオに突入出来、更に・・・(秘密)
お気に入りキャラは、敢えて言うと穂村悠夏かな。
キャラの奥深さとしてはダントツ八車文乃ですね。
と言うのは、それぞれのストーリーをやっていくと、どの子もすごく可愛く見えてきて困るからです(^^;
それだけ、心理描写も上手いということです。
みずたに的歴代BEST作品の、『ONE』『YU-NO』を凌ぐ感じっす(^^)
※コラムにもう少し突っ込んだレビュー書いてます。⇒『青空』とクトゥルー神話
タイトル |
ブランド |
シナリオ |
キャラ |
CG |
音楽 |
システム |
総合点 |
果てしなく青い、この空の下で…。 |
TOPCAT |
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